【食欲】ホルモンコントロールダイエットーレプチン
こんにちは。ダイエット太郎です。
今日からダイエットに重要な「食欲」をコントロールしている幾つかのホルモンについて書いていこうと思っています。
今日の内容は凄く長くなってしまうので先にまとめを載せておこうと思います^^;
まとめ
・満腹ホルモンと呼ばれるレプチンというホルモンは食欲を抑える働きがある。
・レプチンには脂質の分解と消費や糖分の筋肉への取り込み促進などカラダに貯まりやすいエネルギー源を消費しやすい状態にする効果がある。
・肥満の人はレプチンの分泌量が増え、レプチンの効きが悪くなるレプチン抵抗性になる。レプチン抵抗性になると食欲の抑制が効かず、過食になる。
・カロリー制限ダイエット時にはレプチンの分泌量は減少して、満腹感を感じにくくする。
ダイエットを始めた人が良くある失敗の一つは・・・
1.ダイエットを始める
2.食事制限をする
3.お腹が空く
4.我慢できず食べてしまう
5.長く続かずダイエットを諦める
こうした経験をした方は少なくないはずです。
ダイエットをする人もその周りの人も「食欲」に負けてしまうことは、その人の意思の弱さが原因だと思われてしまいがちです。
でも、その人の意思が弱いからダイエットが失敗する訳じゃないということをボクはこのブログで伝えていきたいです。
ダイエットの失敗は正しい”知識”が不足しているから、そしてその”知識”を世の中が正しく伝えていない状況が悪いことと思っています。
ダイエットを決意して食事制限を始めた人が「食欲」に負けてダイエットに失敗してしまうのは極寒の地で裸で立っているのに自分がなぜ寒がっているのかよくわかっていないようなものです。
(某漫画の師匠の言葉)
裸で寒いところに立っている人に防寒具が必要なのと同じように、ダイエットで「食欲」に辛い思いをしている人には知識が必要です。
「食欲」についての仕組みは最近になってわかってきたものの、まだ全部が解明されていない未開の地です。
その中でも「食欲」に関わるホルモンが、数種類(もしくは数十種類)あるということが最近の研究によってわかってきているので、何日か続けて書いていきたいと思います。
今日はその中で「満腹ホルモン」と言われるレプチンについて書いていきます。
目次
レプチンとは
レプチンはヒトの食欲を抑えるように働くホルモンです。
ヒトの「食欲」は脳の視床下部にある”摂食中枢”と”満腹中枢”によってコントロールされています。
ほんとはここで食欲には2種類あることを説明しなければならないんですが、少し説明を省いて、今日はレプチンが”接触中枢”に作用することで「長時間」食欲を抑えるように働くということに注目しましょう(つまり、「短時間」食欲を抑える調節機能もあるということですね)。
そんなレプチンは全身の脂肪細胞で作られ分泌されています。
脂肪細胞に脂肪が溜まってくると脂肪細胞はレプチンを放出して「食欲」を抑えてくれます。
脂肪細胞というのは昔はただの脂肪の貯蓄器官だと思われていたのですが、カラダにとって大事なホルモンをいくつも出していることが研究によって次々にわかっています。
そういうホルモンをアディポサイトカインと言いますが、その一つがこのレプチンです。
さらに、レプチンは脂肪の量が増えるにつれて、レプチンの量も増えて脂肪燃焼に働くので抗肥満ホルモンとして、「体重の維持に働いている」と考えられているんです。
「食欲」をコントロールしつつ、「体重」のコントロールをしているとは・・・・
「レプチン」ってダイエットでは知っておかないといけないホルモンに思えてきましたよね!?
レプチンの働き
1.食欲の抑制
先ほども言いましたが、レプチンには「食欲」を抑える働きがあります。
脳の視床下部にある”摂食中枢”には「食欲が増す神経」と「食欲を抑える神経」があります。
レプチンは脂肪細胞から分泌され、脳の視床下部で「食欲が増す神経」の働きを抑えることで食欲を抑えてくれます。
また、「食欲を抑える神経」の働きを活性化させることで、さらに食欲を減退させて、食べるという行動をやめさせるように働くんですね。
2.交感神経の活性
全身の脂肪細胞から分泌されたレプチンは脳の視床下部に入る働くわけですが、この際、交感神経を活性化させることで、あるホルモンを分泌させます。
そのホルモンとは「ノルアドレナリン」です。
このブログでは触れたことがありませんが、一度は聞いたことがあると思います。
そう興奮した時に出るホルモンですよね。
似たホルモンに「アドレナリン」もありますが、今日はそれを置いておいて先に進みましょう。
交感神経を活性化してノルアドレナリンを分泌させることで、全身でエネルギーの消費と熱の産出が起こって、体脂肪の分解・消費が増大します。
3.体重のモニタリング機能
レプチンが脂肪細胞から分泌することはもう書きましたね。
脂肪細胞は中性脂肪を貯蔵していますが、脂肪の量が増えるにつれて、レプチンの量も増やすので、常に体脂肪の量を脳に伝えています。
つまり、脳はそのレプチンの量を通して自分の脂肪の量、しいては体重をモニタリングしていると言えます。
4.女性への性機能への影響
レプチンは女性の性成熟にも関与しています。
脂肪細胞が極端に減少した場合、性成熟を阻害することがわかっています。
また、同様に生理周期の遅れや停止にも関与していると言われていて、女子のマラソン選手や女性の過度なダイエットに見られる症状にレプチンが関与していると考えられています。
ダイエットに関して過度な期待はだめ!?「食欲」をコントロールするレプチン
食欲を抑制して「食べ過ぎ」を防ぐ
レプチンは”摂食中枢”に働きかけて「食欲」を抑えるようにしてくれるので、食べ過ぎを防ぐことが出来ます。
脂肪細胞に脂肪がある状態では、レプチンは継続して分泌され続けるので、比較的長時間空腹を抑える働きがあります。
ただ、分泌を始めるタイミングに関しては、食事を食べてから血中に脂肪が取り込まれ、脂肪細胞に脂肪が吸収されてからということを考えると、分泌を始めるタイミングとしては食事を始めてから少しタイムラグがあると考えるのが妥当です。
今日は触れませんが、食欲のコントロールには短期で即時的に”満腹中枢”に作用する機構もあるので、もしかしたら「食べ過ぎ」を防いでくれているのはそちらかもしれません^^;
脂肪の代謝とともに糖質の代謝も改善する
レプチンは視床下部でノルアドレナリンの分泌を促すことで、全身の脂肪を分解・消費の働きを増大します。
それとともにこのノルアドレナリンは筋肉でインスリンが作用する(血液中の糖分を取り込む)ように働くこともわかっているので、血糖値を下げる作用があることもわかっています。
より運動するためのエネルギー源となる脂質と糖分が使われやすい状態になるということですね^^
ダイエットの視点で考えた時、糖分と脂質の代謝を促してくれるという点でレプチンは非常に重要と言えます。
レプチン抵抗性による食欲の増進
レプチンは脂肪細胞に中性脂肪が蓄えられるほど、分泌される量が増えていきます。
その結果、脳が自分の体重をモニタリングし、体重を維持するように食欲を抑えるわけですが、肥満になり、脂肪細胞の肥大が大きくなるとレプチンはどんどんと量が増えていきます。
そうするとレプチンを感じ取っている視床下部での効きが悪くなり、レプチン抵抗性になります。
「インスリン」の記事の時もインスリン抵抗性について書きましたが、このレプチン抵抗性もかなり大きな問題になります。
レプチン抵抗性になると食欲の抑制が効かず、過食になりさらに太るようになるからです。
太ってしまった人が痩せたいからダイエットをするわけなんですが、太っているほど食べたくなるなんて、ほんとに恐ろしいですね・・・
カロリー制限ダイエットではレプチンの分泌が減る
ここで2011年のカロリー制限ダイエットの研究の結果について書いていこうと思います。
実験参加者たちは1日あたり500キロカロリー削減された食事をすることで平均13.5キロのダイエットに成功した。
その後、その体重を維持するために低脂質の食事を食べ、1日30分の運動を継続した。
すると、体重は半分ほど戻ってしまった。
この研究ではダイエットの前からダイエット後の1年経過後もホルモンの量を分析された。
その結果、体重が減った後,体重が半分戻った後、1年経ってもレプチンをはじめとする満腹ホルモンの量はダイエット開始前と比べてずいぶん低いことが分かった。
参照:
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1105816
上の結果からわかることは、カロリー制限ダイエットをやった後は体重が減ったものの、その後リバウンドし、尚且つ満腹を感じづらくなってしまったということでした。
最初に書きましたが、こういった研究の内容を見ると知識が無い中でダイエットに励むということが、どれだけダイエットの失敗につながってしまうかということですね。
ダイエットでカロリーを制限し始めることはほんとに簡単だと思います。
でも、カロリーを制限することで、満腹を感じづらいカラダになってしまう、しかもそれがダイエットをやめても続くという結果に、恐ろしさを感じます。
一つ言えるのはダイエットの失敗は決してその人の意思が弱いからではないということです。
あくまでも知識不足によるもの、そして、世の中の偏った知識つまり、カロリーを制限することで瘦せるということだけを宣伝し、カラダの中でどういった変化が起こっているかを伝えないという状況がダイエットの失敗という状況を生んでいると思います。
まとめ
・満腹ホルモンと呼ばれるレプチンというホルモンは食欲を抑える働きがある。
・レプチンには脂質の分解と消費や糖分の筋肉への取り込み促進などカラダに貯まりやすいエネルギー源を消費しやすい状態にする効果がある。
・肥満の人はレプチンの分泌量が増え、レプチンの効きが悪くなるレプチン抵抗性になる。レプチン抵抗性になると食欲の抑制が効かず、過食になる。
・カロリー制限ダイエット時にはレプチンの分泌量は減少して、満腹感を感じにくくする。
「食欲」を抑えてくれている主なホルモンにレプチンがあるということを知っていただきたいと思います。
ダイエットのためにレプチンをコントロールするかというのは、「食欲」に関する他のホルモンにも触れてからにしていきたいと思います。
それでは、また!